吉田ヒデヒト農園




『世界の辺境とハードボイルド室町時代』

Category : お福分け, 日々のはじっこ, 最近の一冊 · No Comments · by 3月 20th, 2016

インフルエンザちゃんのご来訪中。

うう、来ちゃったものはしょうがないけど、どうか早めに帰っておくれ。

ぶぶ漬けでもどうどすか。

そのさなか、ズキューンな一冊。

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な、なんじゃこりゃ…こんな面白い本(語り手の清水氏いわく「奇書」)!!!!

アジア・アフリカの「辺境」を渡り歩くノンフィクション作家・高野秀行氏と室町時代を中心とする日本中世史の専門家・清水克行氏の濃密対談。

ぜんっぜん異なる領域の二人が出会ったのは…『現代ソマリランドと室町日本、かぶりすぎ!』(本書より引用)ってことに気づいてしまったから。(ソマリランドはアフリカ大陸の角にあたるところ。ソマリアの一部だが、独立国家として機能している→

対談は、そのかぶってる部分についての「あるある!」なテンションから始まり(政府が施行する近代的な法だけじゃなく、その内側には伝統的な掟とか土着的な解決方法など複数の法秩序が存在している/いた、とか)

それぞれの領域の細部の話(中世日本でも現代アジアの辺境でも、新米より古米のほうが価値が高い、とか、伊達政宗は結構イタい恋してた奴だった、とか)へ広がり…

さいごは、現代日本へと着陸。

ああ、なんてワクワクするジェットコースター!

目次を読むだけでクラクラ…山口晃氏の装画・挿画も渋かっこいい!!

なにより、この語り手の二人がプロ同士で、それぞれが自身の領域をめちゃくちゃおもしろいんすよ!と思っているのがビシビシ伝わってきて、その二人が語り合うと錬金術を見るかのような驚愕感もありパズルのピースがどんどんはまっていくような納得感もあり、もうなんだか、一緒に居酒屋で感動したり爆笑しながら話を聞いてるかのようでした。

特に、最後の第六章の「『お国のため』は終わりの始まり」で、万葉集や戦国時代の例を引きながら、「政府のため」「国家のため」でもなく「お国のため」という言葉は、支配者も被支配者もごったにした思考を停止させる言葉でしかなくて、それを用いて民衆を戦へと動員し始めたら滅亡するサイン“もう終わり”なんですよ、というところがすごく腑におちて読了。

「辺境」から「室町時代」から、お互いを、現代日本を眺めてみる。その面白さよ。

この同じ姿勢で、いろんな場所や空間から、また異なるほうを眺めてみたらどんなものがみえるだろう。

「沖縄の高江や辺野古」から「日本政府」を眺めてみれば、ウゴウゴ蠢くものに覆われてなかなか中が見えないよぅ、なんてこともあるはず。

「あたりまえ」の価値観をいちど脳内から引きずり出す、思考停止に陥らないために。

この世は奇妙奇天烈摩訶不思議な騒動で満ちている。